情報で歴史を見る
情報で歴史を見るという面白い本でした。
初めてこの手の本を読み、従って初めてその様な考え方を知ったわけです。
情報は社会を変えるというのはどっかで聴いたことがあるような気もしますが、こんなにしっかりと書いた本は初めてです。
「情報の非対称性」が「情報革命」によって薄れてきて時代は変わってきたというようなことかと思います。
目次を見るとわかりやすいのですが
第二章 世界最初のヘゲモニー国家オランダ-----グーテンベルグ革命の衝撃
この辺は学校などでキリスト教の布教などでかなり役に立ったというのを学んだと思う。しかし、商業的にも意味があったと言うことです。
第三章 繁栄するイギリス帝国と電信
あの小さな島のイギリスが大英帝国になるために電信がどのように利用されたのかと言うことです。
第四章 アメリカのヘゲモニー -----なぜ栄えなぜ滅びたか
電話により栄えたと言うことです。
第五章 近代世界システムの崩壊-----不安定な情報化社会
インターネットの時代になり中心が無くなったと言うことのようです。
〈情報〉帝国の興亡 ソフトパワーの五〇〇年史 (講談社現代新書)
- 作者: 玉木俊明
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/08/18
- メディア: 新書
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第五章の「未開拓の土地のない世界」でなるほどと言うことが書いてあるので・・・
「・・・・・ 会社は株主の「所有物」といわれるが、しかしその株主は、みずからが所有する会社で働く人びとの幸福は考えないのである。株主資本主義の首唱者たちは、従業員の賃金にはほとんど関心を示さない。
株主は、短期的利益を追求する。労働者は育てるのではなく、どこからか優秀な労働者をヘッドハンティングすればよいと考えている。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「未開拓の土地」がなくなっているにもかかわらず、「未開拓の土地」があるという前提で企業活動をしてきた、近代世界システムの負の遺産である。
さらに現在の資本主義社会では、株主にとっての新しい「未開拓の土地」とは、本来労働者が手にするはずの賃金を意味しているように思われる。現代社会の大きな問題点として、世界中で富める人びとと貧しい人びとの格差の拡大があるのは言を俟たない。それは、株主らが、新しい利潤の源泉を、本来ならば労働者の手に入るはずの賃金に見出していることに由来しよう。」
というのは現在の世界を表していると思う。
情報が世界を変えて、情報が世界を滅ぼしてきたと言うことか。